世界と日本の城を比較すると決定的な違いがあった

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日本の城と世界の城の違いはどこにある?

世界中には多くの城が存在する。領主の生活の場として、また有事の拠点としての役割を担ってきたが、日本の城には世界中のどの城にもない大きな特徴がある。

それは、本丸の建築材料に石が使われていないということだ。世界の城の多くが石で造られているのに対し、日本の場合は土と木が主流になっている
どうして日本の城は石で作られなかったのだろうか。

ひとつには、日本の地質が大きく影響している。
火山列島である日本の地質はマグマが冷えて固まった火成岩が多く、硬くて成形しにくいという特徴があるからだ。さらに、山が多く運搬に手間がかかったことも理由のひとつと考えられている。

一方、大陸には砂や火山灰、生物の遺骸といった堆積物が固まってできた堆積岩が多く存在している。こちらは、火成岩と違って柔らかいため、切り出して加工しやすい。だからこそ城の主要材料として用いられたのだ。

この特徴は、城に限らず巨大建築物にあてはまる。たとえばエジプトのピラミッドやギリシャのパルテノン神殿などがそうで、古代から石が使われていたことでもうかがえる。

ところで日本の城は、世界の城のように壁にまで石を用いた城は存在しないが、構造上、石が使われている部分がある。「石垣」がそうだ。

掘をつくり、その土で土塁を築く場合、それだけではもろいため補強のために石が使われたのだ。さらに、城を守るために敵が容易に上れないようにする目的もあった。

ちなみに、防衛のための石垣で有名なのが熊本城だ。最初は緩やかな勾配なのだが、上に行くにしたがって垂直になる扇型の形状は、「武者返し」と呼ばれて敵を退けた。


ハワイにも日本の城がある?
バカンスを過ごしたい場所として根強い人気を誇るハワイ。そんなハワイに日本の城があるといわれても、何かの冗談とすぐには信じてもらえないかもしれない。

ところが、ハワイの州都であるホノルルの中心地には、なんと立派な日本の城の天守の姿を見ることができる。

ホノルルを訪れた人なら一度は足を運ぶ人気のショッピングセンターが「アラモアナセンター」だ。連日多くの観光客でにぎわうこの巨大なショッピングセンターからも近いペンサコラ通りに、その天守を見ることができるのだ。

城に詳しい人なら、ひと目見てその天守が山内一豊の築いた高知城に似ていることに気がつくにちがいない。この城、じつは「マキキ聖城教会」というれっきとしたキリスト殺の教会なのだ。

ご存じのとおりハワイへは多くの日本人が移民として渡っている。このマキキ聖城教会も、そんな移民の1人である奥村多喜衛によって1904年に開かれたものだ。
そして1932(昭和7)年には天守を模した建物となったが、その外観は奥村牧師が高知県出身であることにちなんで高知城の天守を模してている。
ハワイの青い空をパックに、天守のシルエットはじつに清々しい。

低賃金と過酷な労働で苦しんでいた日本人移民たちを救うべく奥村牧師はハワイに渡り、マキキ聖城教会を開いたという。
高知城の天守の姿をした教会に託した奥村牧師の思いと、真面目で実直な人物であったと伝えられる高知城の山内一豊の面影は、不思議と重なって見える。



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